「戦闘機入門」です。
みなさん、こんにちわ。水の心です。
今日は「戦闘機入門」です。
光人社NF文庫1997年発行、著者は「碇義朗」氏です。
碇氏は1925年生れ、陸軍航空技術研究所に勤務、戦後は航空、自動車の研究家となり、作家として活躍しました。
戦後生まれの私達は、諸外国に比べ、航空産業、航空スポーツ、民間航空などにあまり触れる事がないと思います。
小学生の頃は「どうして日本はゼロ戦や隼があったのに、
今、日本産の航空機が無いのだろう?」
と疑問に思っていました。
近距離への移動なら、ヘリをもっと利用してもよいし、
北海道から沖縄まで約3000㎞、航空機で時速400㎞毎時で飛べば、7時間半で着きます。
空港の配置など、色々と制約はあるとは思うのですが、
近距離都市間の、軽飛行機での移動は、もっと簡単に出来るのではないか?
と思いました。
しかし、現在、首都圏横田基地上空は、日本でありながら米軍の管制下に入る様な状況で、日本各地には、米軍の訓練空域が存在している状況です。
調べると、敗戦により、日本の航空技術や、運用自体が禁止され、
開発者たちは、鉄道、自動車産業に流れていったそうです。
その代り、技術者たちは、世界で一番安全な鉄道を作り、また自動車開発の黎明期に携わり、今では、日本は、世界有数の車両メーカーを持つ事が出来ました。
自動車技術会会員、自動車技術の著作を持つ、碇氏の略歴を見ると、それらが大きく背景にあるのだ、と思います。
「戦闘機入門」銀翼に刻まれた栄光
では、入門とあるだけに非常にわかりやすく、
今まで航空戦記物を読んでいた時にわからなかった、用語、歴史が、
簡潔に短編で書かれており、それが80章も並び、戦闘機の基礎が初心者でもわかる様になっています。
私は、最新ジェット機よりプロペラ機が好きで、それに関係した章も多く、
非常に楽しんで読む事が出来て、1章が短いので時間もかかりません。
今では有名になっていますが、
例えば零戦のプロペラの後ろ、機首部分には7,7ミリ機銃が2つついていますが、
回転する3枚のプロペラの後ろから、どうやって弾丸を通過させるのか?
に対する答が、今まで読んできた本の中には、どこにも書いてありませんでした。
この本では、
「カム」という回転する部品の面に、山が出っ張っており、
山が来るたびに、それが、伝導索(ピアノ線)のお尻をチョンチョン叩く。
そのピアノ線の先端は、機銃の引き金に繋がっており、これがチョンチョン引き金を叩く。
そのチョンチョンの時に弾丸が発射される。
プロペラが通り過ぎた瞬間に、ピアノ線を叩く様に「カム」を同調させておけば、高速回転するプロペラを避けて、弾丸が発射される、
という仕組みが書いてあり、なるほどな~と感心しました。
また第1次大戦の時代は、戦争当事国にはいい技術が無く、
仏軍では、同調装置など無しで、プロペラに金属板を張り、後から機関銃を発射。
運よく通り抜けた弾だけが飛んで行く、というエラく危なっかしい方法を使ったそうです。
また、現代においては戦闘機の用法もかわり、
大東亜戦争で使われた、一式陸上攻撃機やB29は「戦略爆撃機」であり、
それらを援護する、零戦、P51は「戦略戦闘機」「長距離援護戦闘機」
「侵攻戦闘機」のカテゴリーになる。
が、ジェット化で高速になった爆撃機に、援護は必要なくなり、
現在、戦闘機は「対地、対艦攻撃」が主目的になり
「戦術戦闘機」かつての独軍のBf110の様な「戦闘爆撃機」に近い性質のものになった。
しかも空母での運用が、優位性の一つとなり
「離着陸の距離の短さ」が、狭い日本では有利であり、
艦上戦闘機の運用が、専守防衛の日本には向いている、と分析されています。
アフガニスタンで米軍の戦闘機は対地攻撃で使用されており、
その為、統廃合で攻撃機のA-10が退役するのではないか?と言うような記事を読んだこともあり、これまた納得、感心しました。
この本では、過去の技術だけでは無く、ジェット戦闘機、ロケット戦闘機、
バルカン砲、ホーミングミサイル、脱出装置、G重力加速度等、色々な面から技術者の言葉として解説がしてあります。
飛行機好きなら、読んで損は無いと思います。
それでは、次の更新まで!