「アルマー・ナイフ」です。
みなさん、こんにちわ。水の心です。
今日は「アルマー・ナイフ」です。
私が最初にナイフを購入したのは高校の頃で、6,500円程度のサバイバルナイフでした。(送られてきたものはカミラス社製かと思ったらオンタリオ社製)
自分で研いでみたり、シース(革製のさや)をマジックで黒く塗ったり、ボロボロになるまで、いじり倒しました。
その後、そんな大柄なシースナイフ(さやに入れるナイフ)は飽きた、という事で、地元の刃物店で5000円台の国産フォールディング(折り畳み式)ナイフを購入。
家に帰って色々眺めていたら、刃のロック部分が適当にカットしてあったり、いかにも安っぽい。
更に驚いたのは、折りたたんだ時に、切っ先がはみ出しっぱなしだった事です。
「コリャ、アブねぇーッ!」
買った時に気が付かない私も私ですが、なんつー品質管理だ!
製造、仕入れ、展示、小売り販売まで、結構な人の手を経ているはずなのにアレにはビックリです。
当然、買った店で直してもらったのですが、やっぱ値段は値段なりのものです。
それからしばらくして、2本目が欲しくなり、グリップがグリーンラバーのミリタリー風フォールディングナイフを購入しました。当時の価格は、7500円程度。
手にした雰囲気は、高いだけにカッチリしています。
どこかしら品があるというか、背中のロックを解除し、グリップから引出して「カチン」という音と共に、刃を伸ばしてみます。
(刃の形は、研ぎ過ぎて変形しています)
「ナイフを、何の為に所持するの?」と言われると
「あると何かと便利です!」と言うしかありません。
私の使用は、まずネイルケア。
爪の甘皮部分をカットして整えます。切れ過ぎるカッターを使うより、使い勝手が良い。
そして、足の裏の角質化した皮膚や、手指のサカムケや、あかぎれを手入れして整えます。
そして、口内の歯石を削り落とします。
刃の厚みが薄いので、口の中に入れて動かしても、もてあます事がありません。
握りがしっかりしたナイフなら、切りすぎる事も無く、安全に手入れできます。
他、ステーキなど肉を食べる時に使ったり、段ボールゴミをカットするのにも使いましたが、食後の清掃に手間がかかったり、力が入り過ぎた時の刃先のオーバーランは大変怖いもんです。
結局、30年近く身づくろいだけに使ってきました。身の回り専門の道具です。
その後、その何気なく買ったナイフのメーカーが、コンバットマガジンなどでよく出てくるようになりました。
「アル・マー」
中国系米国人だったマー氏は、米陸軍特殊予備部隊に所属。
ヴェトナム戦時1950年代後半、アジア人だけの隊員を使った特殊作戦の際、それに志願しました。計画実行は沖縄の第一特殊部隊グループから。
軍の勤務後は「アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン」という私立美術学校に入学。(ここは、スターウォーズ初期3作のデザイナー「ラルフ・マクォーリー」氏も卒業しています)
マー氏の修士論文は、二人乗りの潜水艦の建造と進水でした。
卒業後は1967年に、ロスで工業デザイナーとして勤務。
1968年には、ガーバー(米有名ナイフメーカー)のパッケージング・デザイナー、最終的にはナイフデザインの責任者になりました。
そして1979年、マー氏は「アルマー・ナイブズ」を設立。
製造は、刀の製造に1000年以上の歴史を持つ、日本の「関」市で作られています。マー氏と関市の付き合いは、ガーバー社で「シルバーナイト・フォルダー」ナイフの製作時から始まりました。
その後、マー氏は動脈瘤で1992年に逝去。
生前、軍との付き合いは深かったようで、その追悼式の為に参加した「軍旗」衛兵は、ポートランド・ナショナル・エア・ガード・ステーション(州空軍)に駐屯していた予備特殊部隊から、出されました。
マー氏は、しばしば部隊を支援しており、その中隊の名誉会員でした。
現在のアルマー社は、Gary Fadden氏が株式の半分以上を持っており、会社を運営しています。
不運な事に、設立以来G・サカイが、非米国市場ではアルマーの商標を使って製造する権利を持っていましたが、Gary氏は、モキ、セキに製造を切り替えました。
(マー氏の死後、アルマー社はGary氏に売却され、新作ナイフは、当然マー氏デザインではありません。
また、マー氏のデザインしたナイフを製造していたG・サカイは、生前の契約の在庫分もある為、そのままか、商標デザインのみ変更して販売中。
その為、現在アルマーナイフには2種類の商標があるそうです)
1980年代後半、マー氏は「ファイティングナイフ・マガジン」の、名誉の殿堂入りを果たし、2009年には「ブレードマガジン・カトラリー」名誉の殿堂入りを果たします。
マー氏は、特殊作戦協会はもちろんの事、特殊部隊協会の終身会員で、
高名で、尊敬された特殊部隊(グリーンベレー)の指導者、ジェームス・ニック・ロウ大佐※と親友でした。
※ロウ大佐は、ヴェトナム戦争中、捕虜から無事生還した34人中の1人で、後年SERE(特殊部隊員、航空機乗組員のサバイバル訓練)を開発。1989年フィリッピンの共産ゲリラにより殺害。
アルマー社創立時、マー氏は、品質の高いカスタムナイフを、大量生産させる方式を目指しました。
また、柔道有段者、剣道の格闘家としての経験や、グリーンベレーの過去から、当初ナイフデザインは、警察、軍用でしたが、同社の進化に伴い、軍用のみならず、台所用、釣り用、狩猟用とデザインが増えていきました。
マー氏デザインの「SEREナイフ」は、ノース・カリフォルニアにあるキャンプ・マッコールのSEREインストラクター・スクールの、前述のロウ大佐によって最初に認可されたナイフになりました。
SEREナイフは、米国で100ドル以上の値段で売れた、初の工場生産品ナイフとなりました。
現在販売されているSEREナイフは、フォールディングと、シースナイフの2種で、1ドル113円換算で36000円から38000円が最下グレード価格。
刃の長さ、グリップの色、材質によって、価格が上がる様です。
私の持っているナイフは、グリップ材質は違いますが、現在G・サカイで販売されている「ファルコンSS」と同型の様です。
価格は15,120円でした。
ほぼ30年の使用で、滅茶苦茶な研ぎ方もあり、刃自体が無くなりつつあるのですが、刃の交換が出来れば、続けて使用したいと思っています。
生涯物のナイフに興味のある諸兄、一度見てはいかがでしょう?
それでは、次の更新まで!