「映画Platoon 裏話」その3です。
みなさん、こんにちわ。水の心です。
今日は「映画Platoon 裏話」その3です。続いて俳優たちの話とラストです。
ある時、俳優たちは、マラリアに罹患するので川から直接水を飲むな、と警告されていました。しかし、撮影中ウィレム・デフォーは喉が酷く渇いてしまい、うっかり川の水を飲んでしまいます。
デフォーが知る由もありませんが、そう遠くない上流では豚が死んでいたそうです。その為デフォーは、一日病気にかかってしまいましたが、運良くマラリアではなかったそうです。
劇中ヴェトナム人役の幾人かは、撮影時たまたまロケ地のフィリッピンに旅行に来ていたヴェトナム人観光客が出演しています。
バーンズ軍曹のリアルな傷をメーキャップするのに、毎日撮影の前に3時間を要していました。
この映画ロケの撮影期間は、たった54日間。一か月と2週間でした。
監督のヴェトナム三部作は、本作と1989年の「7月4日に生まれて」1993年の「天と地」です。プラトーンの多くの俳優は「7月4日に~」の端役で出演しています。
軍事監修のデイル・ダイは、オリバー・ストーン監督が、村の撮影においてPTSDの発作に襲われるのを目撃しました。
彼らはヴェトナムで同じような経験をもっており、その後共に大いに泣いたと語っています。
映画のポスターで使われたドッグタグは、エリアス軍曹のもので認識番号は「Grodin, Elias K. 3365664125 USKC-987654」
小隊がキャプテン(ハリス大尉)に合う際、バーンズは「ダウイ」と言いますがこれは現地ヴェトナム語で大尉を表わします。
その配役についての話も残っている様で、
バーンズ軍曹の元々の出演依頼先は「ケビン・コスナー」であったり
「ジェフ・ブリッジス」はエリアス役を検討し「デンゼル・ワシントン」はエリアスの役をもらう為、陳情したそうです。
監督は、一時「ミッキー・ローク」をバーンズ軍曹、経験豊かなエリアスに「ニック・ノルティ」を考えており、双方に申し込みました。
が、双方共に断られています。
クリス役には「カイル・マクラクラン」「キアヌ・リーブス」「ジョン・キューザック」に出演依頼をしますが、みな断わられたそうで「ヴァル・キルマー」においては、オーデションを受けるも、役をもらう事が出来ませんでした。
エリアスの有名な両手を空に挙げるシーンですが、特殊効果の弾着が故障し、銃撃によって血が出る仕組みが作動しませんでした。
しかし、デフォーの演技は、とても感動的なものであったため、そのままで使用されているそうです。
映画は、時間軸に沿って撮影されており、劇中死んだ俳優から順に帰国していきました。
チャーリー・シーンの見せる、ヘリに乗る感動的な最後のシーンは大方真実であり、彼が一番最後に帰国する事になりました。
と、映画プラトーンに関しての裏話は、これ以上に散らばっている様なのですが、ここまでとしました。
1965年当時25歳だった若者も既に75歳となり、ヴェトナム戦争って何?と思う人も米国には誕生しているかも知れません。
私たちが年をとるのも当たり前で、記憶も風化していくはずです。
昔読んだ小説版の中で、
印象に残ったのが、エリアスの復讐を狙うクリスに仲の良い兵隊が
「そんなことをしてもエリアスは喜ばない。」
「もうヤツは、天国でマリファナを吸い、楽しくやってるよ。」
と諭す所です。
案外、そうかもしれない。
私も読後30年以上は経ちますが、そう思うといろいろ楽になる時があります。
調べると、オリバー・ストーン監督は非常に恐ろしい存在の様で、確か1987年の「ウォール街」では、マイケル・ダグラス、チャーリー・シーンなど「怒り」を撮るため監督がわざわざ俳優を怒らせて、険悪なムードで撮影していたとか、
ホントかウソか、プラトーンでも、トム・ベレンジャーとウィレム・デフォーが、役通り仲が悪かったとか、かなり恐ろしく厳しそうな現場の空気が漏れています。
監督は、米陸軍空挺隊からLRRP(ロングレンジ・レコネッサンス・パトロール)に所属したとあります。
これも確か劇中のクリスと同じように、志願して入隊していたので、監督はかなり気合の入った人物だと思われます。
更にLRRPは、落合信彦氏の著作の中で知った単語で、かなり敵地深くまで侵入し、攻撃は本隊に任せて、動静を偵察し報告する、というグループだったと思います。
戦前のヴェトナムで英語を教えていた、ともあり、現地語学力もあり特殊な潜入任務にはうってつけだったと思います。(よく考えると、軍の任務だけでなく、政府機関の仕事にも関係していたのでは???)
それは見てはならないものも、多く見てしまったと思います。
劇中クリスは、自国に関係のないアジアの小国で行われる戦争に、真実を見る為飛び込んでいき、そこで、字もろくに書けない貧しい若者や既婚者が、戦っているのを見ます。
経済格差によって、今まで自分の周りには見た事が無い様な人々が存在し、しかも人種差別はあるし、死とは隣り合わせ。
一気に世界が広く見えただろう、と思います。
監督的には、青春時代に見なくていいものを沢山見て、そこでどうしても救われ無かった事を、銃後でうまい物を食べていた奴らに、遥か後方で若者たちを戦わせた奴らに、そこで何があったのかを見せてやりたかったのが、この映画だ、と思います。
クリスはバーンズを殺し、エリアスのかたきを討ちますが、何も終わりません。
何の解決にもなりませんでした。
最後のモノローグ
「この戦いは自分自身との闘いだった。」
「自分の戦争は終わった。」
「自分は、2人の子供なのだ。」
「生き残った僕らには義務がある。」
「見た事を語り伝え、残りの人生を意義あるものにするのだ。」
と締めくくっています。
プラトーン公開から約30年、あのクリス・テイラーこと、オリバー・ストーン氏は今でも、その誓いの為に、作品を作り続けているのがわかりました。
それでは、また次の更新まで!